Manhattan Closet Diary90% of me is you

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | - | posted by スポンサードリンク -
遅。 22:49

 
彼女が来ない。

もう、夕食も始まっている。

かれこれ20分以上は待っているだろうか。

夕食はいつも一緒に食べると決めている。


しかし今日に限って彼女がいない。

非常に不安でしょうがない。

しかも、今日は自宅での夕食ではない。

自宅での夕食では彼女がいないことも珍しくはない。

しかし今日は違う。

日頃の疲れを癒そうと、連休を使って、温泉旅館まで来ているにもかかわらずだ。

人里離れた、山形の温泉村まで。

目の前には、すでに部屋へ仲居さんが運んでくれた、それは豪華な夕食が並んでいる。

山の幸、川魚、そして山形牛。

彼女は7時半から夕食だということは知っている。

言わば、その時間には部屋にいなければいけない。

暗黙の了解だ。

どこか山の中で道に迷ったのだろうか。

近くの川に流されてしまったのだろうか。

様々な余計な不安が頭をよぎる。

コレでは駄目だ。

気を落ち着かせなくては。

そんな焦りから、目の前の中ジョッキも残り3分の1になってしまった。

アルコールを飲んだせいで、先程から自然に少しづつおかずにも手を出してしまっている。

上等な山形牛のしゃぶしゃぶ、鮎の塩焼きなどなどに舌鼓を打ちまくっている。

きっと彼女が来たら怒られるだろう。

しかし、そんなことより不安のほうが大きい。

だから、食べていないと落ち着かない。

彼女が来るまで待ったほうが良いのは分っている。

一緒に食べる夕食は何倍も美味しいことだろう。

ふと、冷静に考えた。

私は旅行に来ている。

そして、旅館で夕食を食べるにも関わらず彼女がいないのはおかしい。

やはり、どこかで近所で迷子になっているに違いない。

そう考えると、このまま1人で悠長に食事を続けるのはまずい。

だって、食事が運ばれてきてから20分以上経過しているのだし。

いてもたってもいられず、フロントに連絡する為に電話の受話器を握っていた。

「すみません。彼女がまだ来ないんです。」

そして、思い切って「警察に知らせたほうが…」と言おうとした瞬間に、話を遮られた。

「はい。かしこまりました。」

中年男性の声でそう告げられた。

穏やかな口調な中年男性の声を聞き、なぜか少し気が楽になった。

きっと彼が彼女をすぐ連れてきてくれる。

この非常事態に私は不謹慎ながらそう思った。

それならばと、また中ジョッキをオーダーした。

やはり、旅館の夕食は美味しい。

ビールが進む、食事も進む。

ふと、テレビに目を向けると、見たことが無い地方アナウンサーが映っている。

山形弁ではない。

きちんとした標準語だ。

そんなアナウンサーの声に負けじと、川の流れる音が聞こえてくる。

川の近くには足湯に入れる場所がある。

きっと家族連れがそこで疲れを癒しているのだろう。

キャッキャと騒ぐ子供の声も聞こえる。

遠くまで来た甲斐があった。

様々な音のハーモニーがそう感じさせてくれた。

そんな感慨にふけりながら、山形牛のしゃぶしゃぶに箸を伸ばした。

次の瞬間、箸が空を切った。

そこにはあるはずのお肉はもう無かった。

それならばと、周りを見渡すと、同じように空の皿が並んでいる。

調子に乗って食べ過ぎてしまった。

彼女が来る前に。

もうほとんど無くなってしまったおかずを見て、我に返った。

俺はいったい何をしていたんだ。

彼女を待たずに食事を始めてしまうなんて。

私は箸をそっと手から離した。

もう食事は終わりかけている。

このあり様を目の当たりにすると彼女は怒るだろう。

しかし関係ない。

こっちはもう40分は待っている。

彼女は何をやっている。

私を両腕で包むように不安から解き放ってくれた、フロントの中年男性は何をやっている。

こんな時間までなにをやっていたの!夕食の時間をとっくに過ぎているじゃないの!

彼女が来たら、こう言おうと決めた。

年頃の娘の反抗期を叱る母親の気分だ。

ついでに中年男性にも同じ事を言ってやる。

酒臭い息を撒き散らしながら午前様の旦那を叱る嫁の気分だ。

心臓が強く鼓動を始めている。

血液の流れも最高潮になろうとしたその時だ。

ドアをノックする音と共に、「失礼しま〜す。」という仲居さんの明るい声が聞こえた。

きっと彼女も一緒だ。

私は深呼吸をし、身構える。

こんな時間まで…、と言おうとした瞬間、彼女ではなくスイカが見えた。

三角に切られたスイカがお盆の上に乗っている。

とてもおいしそうだ。

食事もちょうど終盤だし、そろそろフルーツも悪く無い。

不覚にも私はそう思ってしまった。

あの地方アナウンサーが映っていたニュースがCMに変わった瞬間、我にかえった。

スイカはどうでもいい。

フロントに「スイカを買って来て下さい」とは言っていない。

スイカではなく、彼女はどこにいる!

声を荒げようと、仲居さんを見ると、その隣に彼女がいた。

スイカの隣に寄り添うように、彼女はお盆に乗っていた...。

仲居さんも、そして彼女も遅くなってしまったことを謝る様子も無く...。



怒るなって。

きっとこの村の習慣で、「彼女」は最後にかきこむ様に食べるんだよ。

むしろ、デザートの直前にね。

と、目の前で鬼の顔へと変貌した彼女に伝えた。

もちろん、自分に言い聞かせるように。

疲れを癒しに旅行に来たのに、騒ぎを起こしたく無いじゃないか。

たとえ遅れても、こうして「彼女」は私の前に来てくれたのだから...。

しかも、私はこんな状況でクレームができる器の人間ではない。

そんな人間だったら、私は今頃、もっと違う人生を歩んでいる。

頼りない男ね。

と言いたげな表情で私を見る彼女。

私は、そんな表情を見て見ぬ振りをした。





私は白く光った炊きたての「彼女」を口に入れた。

ふっくらしていて最高に美味しい。

なんだか懐かしい想いに浸りながら噛み締めた。

しかし、なんだか物足りない。

なぜなら、あんなに待った「彼女」に合うおかずはもう既に無い。

それに、中ジョッキ2杯と美味しいおかずは良い感じに堪能してしまった。

一口、二口と食べたあと、私は箸を再びそっと置いた。

その後、スプーンに持ち替え、スイカといやらしい口づけを交わしたのは言うまでもない。

茶碗の中の「彼女」に精一杯の意地悪な目線を送りながら...。











という、最近、イラッとした話。


























MANHATTAN APPAREL ONLINE STORE



































| 雑念 | comments(2) | trackbacks(0) | posted by m-closetm -
NEW ARRIVAL!! 19:44
 















MANHATTAN APPAREL ONLINE STORE















































| FASHION | comments(0) | trackbacks(0) | posted by m-closetm -
時流。 20:04


見ていない方はお時間がある時に是非。


こんな時代だからこそ、感じるものが大きいのです。







今のアパレル業界、作り手も買い手も然りのこの変な空気感自体が流行であり使い捨てかと。

いろんな意見があると思いますが。



けど、消費者も賢くなって、ブランドネームにあぐらをかいて、ボッタくっているような所は、淘汰されるのだと思います。これは業界にとってはきっと良いことです。作り手、買い手、お互いが洋服と真剣に向き合う時なのかもです。



きっとファストファッションの波も近い将来落ち着くのでしょう。そうなった時こそ本当の勝ち負けが決まるのです。


「安かろう悪かろう」の時代はとっくに終わってます。



価値に見合った商品を作る腕と、見る目を持って。

クリーンな次の時代のアパレル業界へ(笑)。






しかし、このオッチャンはかっこええ。

















MANHATTAN APPAREL ONLINE STORE



| 雑念 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by m-closetm -
2。 17:06
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090724-00000002-oric-ent

だそう。




個人的に、さんまとタモリより、18歳の頃からお互い切磋琢磨してきた、さんまと紳助のカラミのほうが好きなのです。





この二人、かっこ良すぎます。

そりゃ、誰も入っていけません。




ところで、この流れで一番おいしかったのは、東野かと。

けど、さんまの絶妙のパスはさすがです。東野も来ると分かってるからこそ。






コレに限らずですが、大物相手にもきっちり笑いを作れる東野は、世間様にもっと評価されるべきかと。
























MANHATTAN APPAREL ONLINE STORE
| 雑念 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by m-closetm -
混。 19:10
 

私が思うに日本で一番のラッパー MUMMY-D氏。

さすが、どんなトラックでも乗りこなしてしまいます。

客演の量がハンパじゃないのが当然です。



まさに日本の「Q-TIP」!


彼女のファンの中には、「ラップいらなくない?」とか言っている人もいますが…。


しかし、彼女は分かってらっしゃいます。最高のコラボレーション。


なんだか、彼女の音楽性には惹かれてしまいます。別に気にしているわけでもないですが、聞いたこと無い新作でも、耳に入った瞬間に彼女の曲だと分かるところがスゴイ。

きっと、日本の音楽史を変えた一人だと。



そして、「マボロシ」はもっともっと評価されて良いのになんて思います。




HIPHOPだけ聞いていてもHIPHOPの素晴らしさは分からないし、真のHIPHOPは作れない。

ROCKだけ聞いていてもROCKの素晴らしさは分からないし、真のROCKは作れない。





素人目線ですが、そう思います。

「ラップいらない」とか言ってる人は、お子様です。







昔、「ミクスチャー」という言葉でROCKとHIPHOPの融合が流行った時もありましたが、そんな事が当たり前になっている今の時代、素晴らしいと思います。



抵抗無くオールジャンル聞ける耳があれば、音楽が数倍楽しくなるのでは。私も死ぬまで色んな音楽に触れ、色んな音楽を好きになりたいなと。







その当時、賛否があったような気がしますが、そんな事はどうでも良く、単純にカッコイイ。
彼らもまた日本の音楽を変えたと思います。







しかし、椎名林檎は「ドM」な私にはたまりません…。















MANHATTAN APPAREL ONLINE STORE
| MUSIC!! | comments(0) | trackbacks(0) | posted by m-closetm -
音。 13:28




「梅雨明け」ということで、高校球児は各地で熱戦を繰り広げております。もう沖縄は4強が決まりました。久々の沖縄水産もいいですが、現ロッテ大嶺祐太の弟、大嶺翔太の八重山商工もはずせません。八重山旋風をもう一度観たいものです。もちろん興南、中部商も強いです。

ま〜、どこが勝っても、今年の甲子園、沖縄のアルプススタンドはいつも以上に楽しそうです。

アルプスで応援しながらの高校野球、「面白い」を通り越して「感動」です。


ご一緒にいかがですか?















というわけで、夏に向けて良い感じの最近のヘビーローテーション。






前回も紹介した、「STRICTLY ROCKERS」シリーズ。今回はDJ MEUTRA a.k.a KOR-1。
サイケデリックソウルとファンクレゲエ〜ダブ〜ヒップホップを素晴らしい流れでのMIX。どのレビューを見ても書いてますが、Gwen Mccraeから、Main Source/Just Hangin’ Outへの流れは腰にきます。さらりとBlackaliciousとか入ってくるのも素敵です。


[track list]
01. Sub Dub / Rhythm Collision
02. African Head Charge / Off The Beaten Track
03. Blackalicious / Deception
04. Carl Bradney / Slippin' Into Darkness
05. Jackson 5 / I'll Bet You
06. Inner Circle / Reggae Thing
07. Pointer Sisters / Don't It Drive You Crazy
08. Gwen Mccrae / 90% of Me Is You
09. Main Source / Just Hangin' Out
10. Romanowski / Why?
11. Lee Dorsey / Tears Tears And More Tears
12. Mr. Scruff & Roots Manuva / Nice Up The Function
13. DJ Vadim / Ghetto Rebels feat. Phi Life Cypher
14. Pete Rock / Massive feat. Heavy D And Beenie man 
15. Big Youth / Marcus Garvey Dread
16. Sugar Minott / Hi Hello
17. Rick James / Mary Jane
18. Third World / Journey To Addis
19. Red Hot + Riot / Water No Get Enemy
20. Erykah Badu / Bag Lady - Soul Carib Mix
21. Sade / By Your Side - The Neptunes Remix



ちなみにココで聞ける、別のMIXも抜群です。













高円寺GRASSROOTS、「nbsa」などなどで活躍中のCONOMARKの2枚目のMIX CD。その名も「SHARE」。

HIPHOPからR&B、JAZZ、HOUSE、AFRICANといったブラックミュージックの要素が良い感じに詰まっている、とにかく「黒い」MIXです。歩きながら聞くと早歩きになることでしょう。トバされます。レーベル「BLACK SMOKER RECORDS」はやっぱりハズシません。














最後に、DJ 1 TA-RAW!EXOTICA CATHARINA MIX!さすがです!

ここからDOWNLOADできちゃいます!お気に入りです!夏のお供に間違いなしの アフロ、サルサ、ラテンからレゲエまで、キラーチューン満載。男のアナログレコード1発録り!急げ!

今は亡き「MIX」で良くトバされてました。最近、ご無沙汰なのでまたDJ聞きに行きたい!


ごちそうさまです!



[track list]

1.SECRETARY BLUES (EDIT) / KILL THE DJ
2.THIRD STONE FROM THE SUN / JIMI HENDRIX
3.AU PRIVAVE / BOB DOROUGH
4.CONGOLESE CHILDREN / RANDY WESTON
5.LAS CALENAS SON COMO LAS FLORES / THE LATIN BROTHERS
6.THE LADY IS A TRAMP / THE BAD STREET BOYS
7.NO TE PUEDO TENER / MILLY
8.S.S.S<南の島 宇宙 スラム街> / ECD & CENTRAL SESSION
9.MANDININA / PIERRE MAIZEROI
10.POR QUE / TEGO CALDERON
11.CUBANO CHANT / ART BLAKEY
12.ANDINO (INDUSTRIAL MIX) / ATAHUALPA 1530
13.GUITARRA POR LA REVOLUCION / UP,BUSTLE & OUT
14.SIN PAPELES / CHE SUDAKA
15.FEVER! (XTRASKANK BLEND MIX) / RUMI & PRIMAL
16.ABAPHANTSI / SANGOMAS+MAGA BO & TEBA
17.HUMBLE MUMBLE / OUTKAST & ERYKAH BADU
18.THINGS CHANGE (DJ C REMIX) / WARRIOR QUEEN
19.UPTOWN PARTY LIFE / DAVID LAST vs ZULU
20.DESABAFO OLODUM / RENI VENENO
21.SOFTCORE MANBO (REMIX) / SLY & ROBBIE
22.100% (EDDIE'S LATIN CROSSOVER MIX) / BIG PUN & TONY SUNSHINE
23.COPACOBANA / AMBLIQUE
24.PARK PLAZA / RALPH MACDONALD
25.俺達に明日は無い (RAP VERSION PT2 REMIX) / ECD
26.LEAVING THIS PLANET / DAMN!
27.MOVE ON UP / DJ AYRES
28.RUB-A-DUB / NICK HOLDER
29.CRYING IN THE CHAPEL (Satisfy My Soul Babe MIX) / ELVIS PRESLEY










しかし、こんな素晴らしい音楽達も甲子園では聞きません。

ビール片手にトランジスタラジオかワンセグで実況解説を聞いているか、アルプススタンドではメガホン片手に応援のどちらかです。

応援団の太鼓、金属バットの音、そして大歓声。


最高のライブです。






しかし、地元のおっさんと大差ありません…。











































MANHATTAN APPAREL ONLINESTORE

| MUSIC!! | comments(0) | trackbacks(0) | posted by m-closetm -
感。 17:07

 


実家に帰省すると、私は決まって「自転車」に乗る。



実家には申し訳ない程度の素朴な「車」もあるが、私は何処かへ出かける時は必ず「自転車」にまたがる。





その「自転車」は、私が高校生の時に愛用していた古いものだ。





もうとっくに60歳を超えた両親がそんな古びた「自転車」に乗るはずも無く、私が帰省した時だけ使われるその「自転車」は、くもの巣だらけであったり、タイヤの空気が減っていたり、サドルに被せてあるビニール袋もホコリだらけで見る度に錆も増え、実家に帰っていなっかた長い月日を毎回のように実感させる。



家族から忘れかけられていた「自転車」を、帰省のたびに、まるで漁師が久しぶりに会う地方の港妻を可愛がるように、私は彼女の髪の毛を優しく撫で…ではなく、くもの巣を優しく取ってあげ、吐息の漏れる口づけ…ではなく、タイヤから少し空気が漏れながらも必死に空気を入れ、優しく洋服を脱が…ではなく、サドルのビニール袋を脱がせ、一緒にお風呂…ではなく、ホースで水をぶっ掛けて丸洗いする。





帰省すると必ず行う儀式の様なものだ。






というわけで実家に帰ると、そんな綺麗になった「自転車」にまたがる時間を必ず作り、小学生で言うところの「校区内」から「校区外」までを、行く当てもなく縦横無尽にウロウロし、懐かしさや思い出にふけり、町並みの変化をゆっくり感じる事が密かな楽しみなのである。










もう上京して以来、ロクに連絡も取っていない旧友の家の前を通り、主のいない犬小屋に時の流れを感じたり…。


みんなで野球をした公園が今となっては草が生い茂ったジャングルになっていることに少子化の波を感じたり…。


駅前には真新しい輝きを放つファッションビルが建ち、オシャレな若者が増えていることに驚き、うっかり父に借りたTシャツに半ズボンの出で立ちで「自転車」に乗る自分が浦島太郎になった気分を感じたり…。

しかし、ロータリーで客待ちをしているタクシーの運転手は、「ティアドロップ」という洒落た名前があるということを忘れさせてくれる「金縁」、「ベッコウ」、「薄茶色のレンズ」という3大ポイントをキッチリ押さえた、「タレサン」と呼ばれるサングラスを9割の運転手が使用し、さらにその内の9割が「パンチパーマ」もしくは「アイパー」ということに、野球部の試合の応援に来ていた生徒の父親の9割もこの部類だったと、懐かしい青春の匂いを感じるのだ。












そんな事に思いを馳せながら「自転車」で風を感じていた8月の暑い日ざしのある日、ふと、前から「自転車」に乗った制服姿の男子中学生が必死の「タチコギ」でこちらに向かってくる。



アスファルトを陽炎が揺らしている為ぼんやりとしているが、ヘルメットを被っているので中学生に間違いない。



その「タチコギ」具合から見るに、かなり急いでいるのだろう。近づくつれ、顔には玉のような汗が輝き、日に焼けた腕も美味しそうな「揚げパン」のように光っているのが良く分かる。荒い息使いが今にも聞こえてきそうだ。



私は部活の練習に遅刻したのだろうと考えた。



その瞬間、その男子中学生は、私の30メートル程先の民家の角にポツンとある清涼飲料水の自動販売機の前に止まった。


のどが渇いているのだろう。無理もない。この暑い中、急いでいるのだから。しかし、先輩に怒られるのは避けられない。少し休みたくなる気持ちは痛い程わかる。



どういう衝動からか分からないのだが、なぜか彼が何を買うのか気になった。私は自動販売機の少し手前に自転車を止め、携帯で話すフリをしながら眺め、「アクエリアス」以外にはないだろうと考えた。





男子中学生は財布を出す為にスポーツバックを開ける。




しかし予想に反し、彼は財布を出すのではなく、なにやら本を出し、器用にクルリと丸め、缶専用のゴミ箱の丸い穴に突き刺したのだ。その後、少し前へ目深くなったヘルメットを「ポン!」と後ろへ叩き、また必死の「タチコギ」で私の前から去っていった…。





彼は再び陽炎に包まれ、まるで飴玉が溶かされて無くなってしまうように後ろ姿が見えなくなった後、私の足は自然にゴミ箱へと向かっていた。






ゴミ箱まであと数メートルとなった時、私は絶句した…。




















奥まできちんと捨てられず、3分の1だけ顔を出しているその本は「エロ本」だった。




その本は「ビデオボーイ」だった。




「4月号」だった。





「アクエリアス」ではなく「ビデオボーイ 4月号」だったのだ…。












昔、テレビを見ながらご飯を食べていると、母に怒られたものだ。
そして、最近の若者は、携帯でメールを打ちながらご飯を食べたり、勉強したりするという。

しかしながら、部活に遅刻し、急いで学校に向かいながら「ビデオボーイ 4月号」を捨てるという荒技をこなした彼はきっと大物になるに違いない。




まるで番組をしっかり作りながら笑いもキッチリ作る島田紳介のように…。















ところで、あの男子中学生は知っているだろうか。





この清涼飲料水の自動販売機がおいてある場所。それはまだ私が少年だった頃、既に現代社会では葬り去られた逸品、町で唯一の「エロ本」の自動販売機が置いてあった場所だという事を…。





ふと、自動販売機の下を見ると、アスファルトにポツリポツリと男子中学生の滴り落ちた汗が滲んでいる。



ここが「エロ本の直売所」だったあの頃、少年だった私もこの場所で冷や汗をたらしていた。

道行く大人たちの隙をうかがい、未知の世界への扉の鍵である「エロ本」を手にする為に。









アスファルトに描かれた幾つもの丸い模様を見ながら、まるで、あの頃の自分の冷や汗と、男子中学生の青春の汗が重なりあっているように見えた。


そんな見ず知らずの二人の重なりを、丸められた「ビデオボーイ 4月号」の表紙を飾る女優が3分の1だけ顔を出し、笑顔で見守ってくれていたのだった…。





私は、アスファルトの模様も暑い日差しに蒸発しかけようとした頃、ふと我に返り、「3分の1の彼女」をそっとゴミ箱に押し込め、今までより少し強く、再びペダルを漕ぎ出した。




もちろん、あの頃の私なら「彼女」を救出していただろう。冷や汗をかきながら。




もういい年だが、また1つ大人になった気がした。















そんな淡い思い出に浸っている場合ではない。


来週から免停だ…。






しかし、実家からその愛用の「自転車」を送ってもらい、60日間、東京を当ても無くウロウロするのも悪くない。



あの男子中学生のように、最近かいていなかった熱い汗を流してみたくなった。






















MANHATTAN APPAREL ONLINE STORE





| 雑念 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by m-closetm -
落。 18:03
 




なんだか今朝は気分が良い。外では雨が降っているというのに。




目覚めも良かったし、「とくダネ!」の血液型選手権もブッチギリの1位だからだろうか。

最近の悩みの種だった「顔の吹き出物」も、頂き物の洗顔ソープにしたら、今朝、綺麗に消えていたからだろうか。

昨晩、「ちょっと大きいかな〜?でも、乾燥機で縮めたら、きっと、いい感じのサイズになるやろ!よし1発ここは賭けてみるか!これ買います!」と意気込んで購入したシャツを、早速、乾燥機に入れたら予想どうりいい感じのサイズになったからだろうか。




そう、今朝はなんだか気分が良い。寝起きの悪い私にとって、こんな日は珍しい。だって昨晩は上戸彩とイチャイチャしている夢だって見ていないのに…。





なぜだろう…?





上戸彩どころか安室奈美恵だって夢に出てこなかったというのに。






なぜだろう…?











…目覚めて30分が経とうとした頃だ。そう思い出した。










数日前から「禁煙」をしたからだ!










そう、先日、周りの薦めもあり、「禁煙セラピー」なる本を購入。巷で噂の読むだけで「禁煙」ができるというヘビースモーカーな私にとっては嘘みたいな本だ。


半信半疑で手に取ったものの、読み始めてすぐこの本の虜になってしまった。こんなに虜になってしまったのは上戸彩に出会って以来だ。





「禁煙は素晴らしいのです!」とか「禁煙すると自信や勇気が湧いてきます!」とか「タバコなんて誰も美味しいと思って吸っていないのですよ!」などのポジティブな言葉達に魅了され、まだ半分程しか読んでいないというのに、なんだかタバコを吸う気にならず、ここ数日は結果的に「禁煙」をしていたのだ。






「禁煙」とはなんて素晴らしいのだろう!

こんなに目覚めが良く、気分も良いなんて!幸せです!

さようなら、タバコさん!こんにちは!上戸彩さん!今日も1日ヨロシクね!




そんなハイテンションな私は、昨晩のうちに良い感じに縮めておいた、例のお気に入りな真新しいシャツに袖を通し、そして今日は良い出会いがあるらしいO型の私は、上戸彩に会えるのだ!といつもより早く家を出て、原付バイクでお店へと向った。

不思議なことに先程まで降っていた雨も小雨に変わっていた。




こんな気分の良い日は、すれ違う人にも幸せをおすそ分けして、笑顔にしてあげたい。
空気も美味しいし、風も気持ち良いし、顔に当たる雨粒も心地よい。タバコを吸わないことでこんなにもゆとりがある幸福感に浸れるなんて。



そして交差点に差し掛かり、赤信号で止まる。普段は時間に追われイライラするところだが、今日は全然OK だ。どうぞ、どうぞ、お先にどうぞ。私は10分ぐらいは平気で待てますよ。









そして「今日は昼ご飯も格別に美味しいんだろうな〜」などと考えながら信号待ちをしていたその時である。







ふと、視線を下ろすと、ハンドルを握る左腕が汚れている。







新品のシャツだ。そんなわけは無い。おかしい。家を出てから数分しか経っていないのだ。



見間違いを信じ、もう一度袖に目をやった。



















…糞だ。鳥の糞だ…。しかもデカい…。


デカイい鳥の糞が私の左袖を汚している。デカい鳥の糞が新品のシャツを汚している。





まさかと上を見上げてみると、カラスが電線に止まっている。「俺はアンタより気分が良いんだぜ。」と言わんばかりに「カー!、カー!」と声高らかに鳴いている…。





さらに、そのまま見上げた視線を後へ向けると、軽トラックに乗ったおじさんが半笑いで会釈をしている。





違う…。私はこんなことで人を笑顔にしたいのではない…。






左腕に鳥の糞をこんもりと乗せながらバイクを走らせ店へと急ぐ私。



109前を通る時には、道行くギャル達に「アノヒト、フンノッテネ〜〜?!チョーウケル!」と言われないかヒヤヒヤだ。






ようやくお店に着き、近くの駐車場のトイレで左腕を洗う。デカイからなのか、ハトではなくカラスだからなのか知ったことではないが、こびり付いている様でなかなか汚れが落ちない…。











イライラする…。






先程までの幸福感は姿を隠してしまい、もし誰かが見たら、返り血を浴びたシャツを洗っていると勘違いされるほど、私は殺意と邪悪なオーラに包み込まれていたに違いない。













イライラする…。




そして案の定、洗い終わった後、苛立ちから速攻でタバコを買いに行き火をつけてしまったのだ。






タバコを吸い終わり、落ち着きを取り戻し、ふと我に返る。





…吸ってしまった…。あんなに気分も良く幸福感で満ちていたのに…。私は駄目な人間だ…。所詮タバコの奴隷なのだ…。


これでは駄目だと思い、初心に戻るべく、続きを読もうと「禁煙セラピー」を手に取った瞬間、イラついて、またタバコに火をつけてしまった。




なぜなら…、

























「著者 アレン・カー」




















どいつもこいつも、「カー!カー!」やかましいわ!



もう私には「禁煙セラピー」は必要無い。私を幸せにしてくれるのは、やはり上戸彩だけである。














という、「空から糞が落ちてきた」というある日の話であり、いまひとつ話の「オチ」も空回り気味であるがご了承いただきたい。









お詫びといってはなんだが、こちらはちゃんと値段が落ちている「SUMMER SALE」をWEBと店舗で同時開催中です!










店舗へお越しの方はくれぐれもカラスにお気をつけてご来店くださいませ。























MANHATTAN APPAREL ONLINE STORE





































| 雑念 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by m-closetm -
| 1/1 |